田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

歩いて 歩いて

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昨日11日は朝から一日外出しました。

8日から9日にかけて来襲した台風15号は、幸い埼玉にはそれほど大きな被害をもたらさずに去って行ってくれた(千葉は大変です)のですが、その後の猛烈な暑さの中、この日は「せっかく浦和に行くんだから」という組み立てで臨みました。

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朝、電車に乗って北浦和駅へ。

25年以上この仕事をやってきて、初の浦和公共職業安定所でしたが、北浦和駅から歩く歩く。

距離は大したことないし、15分程度なんですが、朝から気温が高い( ;∀;)

いきなりいい汗かきました。

3階まで上がって特定求職者雇用開発助成金の支給申請書を提出。

手続をしてもらいながら職員さんと「この後県庁へ行くんだけど、北浦和駅まで戻って電車で行くのと、このまま歩いて直行するのとどっちが良いでしょうかねぇ」なんて話をしてアドバイスをもらいます。

結果、当初の予定通り歩くことに。

しっかり火照った体を冷やして埼玉県庁へ向かいます。

 

とことこ歩いていくとNHK FMさいたまが。

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車で通っていると気がつかないけど、こんなところにあったのですね。

 

しばらく行くと、さいたま市役所

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ここまでくれば道順はグーグルマップに聞く必要もありません。

庁舎内へ入って、しばし休憩。

 

時間通りに埼玉県庁に着きました。

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11時から少子政策課へ表敬訪問です。

事業開発委員会の委員長、保育労務管理小委員会の総勢4人で専門家個別派遣事業の進め方について打ち合わせをしてきました。

前期までは事業開発委員長をやってましたが、今期は小委員会副委員長として改めての訪問です。

新しい課長さんが7月16日付で赴任されていて、さっそく事務局で作ってもらった新しい名刺で名刺交換をしてきました。

 

ちょうど12時で退出し「お昼ご飯を食べながら打ち合わせをしよう」ということになって浦和駅へ。

結局、北浦和駅から浦和駅まで一区間歩いて制覇しました。

 

浦和は土地勘ないのでついていくだけ。

ランチはマーケットレストランAGIOというところで。

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店内にピザ釜があるレイアウト。

だけどリゾットのランチセットを頼みました。

 

この後

14時から埼玉会理事会

16時からは埼玉政連の幹事会

17時からは埼玉会委員長連絡会議

 

理事会の席で外国人労働者からの労働相談を各単会の総合労働相談所で受ける」ことを全社連で決定されたと聞き、「え( ゚Д゚)」とかなり驚く。

聞いてないんですけど。

委員会予算でポケトークを購入することを真剣に検討。

 

全てのスケジュールが終わったのが18時半過ぎ。

案の定、長かったです。

この日は19時からロータリークラブの理事会がある日だったのですが、どうせ間に合わないだろうと思って、会長に欠席届を出しておきました。

 

この後に飲みに行くんです。

何人かは会議後お帰りになりましたが、この日は参加者が正副会長と委員長だけなので、とても楽しい交流をすることができました。

更に

翌日は朝から一日年金相談会だというのに二次会へ。

 

なかなか会長ともゆっくりお話しする機会ないですし、こういう席では普段できないような打ち解けた雰囲気でいろいろお聞きできました。

県に上がるのは時間もとられて大変ですが、沢山の優秀な人と会えてたくさんの刺激を受けることができ、得るものは多いです。

 

得るものは多かったし、とても楽しく飲めましたが、結局終電を乗り逃しました

( ;∀;)

 

 

運送会社と最低賃金

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今年も埼玉県は、10月1日に地域別最低賃金が改定されます。

全国の地域別最低賃金も出そろいました。

pc.saiteichingin.info

 

運送会社では最低賃金をベースとして基本給を決めているところが少なからずあります。

こういった会社では最低賃金が改定されるたびに、否応なく賃上げをしていくことになります。社会保険労務士事務所の実務としては、報酬月額変更届失念することのないよう準備をしておく必要があります。

注意点としては、家族手当や皆勤手当、無事故手当を支給している会社です。

家族手当・皆勤手当はそもそも最低賃金の対象として除外されていますし、無事故手当は算入可能ではあっても事故発生により不支給となったときに最低賃金割れとなる可能性があるので、できうる限り基本給で最低賃金をクリアしておくことになります。

 

問題は、多くの会社で採用されていると思われる固定残業手当で、基本給が上がれば固定残業代も1.25倍で上げていかなくてはならないということです。

会社の経営状態や燃料費、またこの先の見通しなどとは無関係に人件費が自動的に、しかもここ数年の上がり方からすると不安を通り越して既に経営を圧迫しているところもあるようです。

 

歩合制を導入している会社では、時間外労働に対する割増賃金は「時間単価 × 0.25」でよいので、先に上げた固定給型の賃金体系よりは賃上げ圧力のインパクトは小さくなります。

1点注意しなければならないのは、歩合給を総労働時間で除した金額が最低賃金との比較対象となる時間給になりますから、実労働時間が長時間化している(長時間化している会社が多いですよね)と最賃割れの可能性があることです。

 

このところの人手不足である程度人件費が上がってしまうことは、どの社長さんも覚悟していることと思いますが、このペースで上がっていくことは想定外ではなかったでしょうか。

運送業界の労務管理は自社だけの努力では解決できず、荷主さんとの契約関係が大きな要素となることは自明のとおりです。

ここで消費税も上がることで、諸経費の負担も重くのしかかるなか、産業の血液ともいうべき運送業界には頑張っていただきたいです。

 

我々社会保険労務士も、更に研鑽を積んで経営と快適な労働環境確立の一助になるよう努力を怠すことはできません。

 

 

 

寄居町 八千代うなぎ蒲焼店

 

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寄居町「八千代うなぎ蒲焼店」という名店があります。

数年前に、嵐山町にある顧問先の社長さんに連れて行ってもらい、「こんなうなぎを食べさせる店が寄居にあるのか!!」と感動し、また来ようと心に決めたところです。

 

かなり時間がかかりましたが、やっと行くことができました。

 

なにせ、とにかく営業時間が短い( ゚Д゚)

 昼は11:00~13:00

 夜は17:00~18:00

  ※月曜日定休

1日3時間しか営業しないんですよ。

寄居まで行って食べられないのは洒落では済まないので、しっかり予約を入れて向かいました。

 

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どうですか。

写真を撮るのが上手くないので、美味しさがうまく伝わらないなぁ( ;∀;)

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肉厚で、ふわふわです。

タレの加減も甘すぎず辛すぎず、濃すぎず薄すぎず。

一面の蒲焼の下には、これでもかというばかりにぎっしりご飯が。

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肝吸いのなかに入っている肝が、これまたデカい。

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実は、これまた大盛りの新香がすごくおいしいのです。

これだけでもご飯を一椀いけます。

 

お腹いっぱいいただきました。

 

埼玉は川の県のせいか、各地に美味い鰻を食べさせるところがたくさんあります。

有名なところでは浦和とか川越とか。

小川町にも「女郎うなぎ福助」とい名店があります。

 

いまはシラスウナギの漁獲量が激減していて、鰻は本当に贅沢な食べ物になってしまいました。

でも、また食べに来たい逸品です。

 

 

真面目に練習

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今年はゴルフにきちんと取り組もうと目標を立て、真面目に練習をしています。

今年3月に顧問先のゴルフコンペがあり、その前あたりから練習を始めましたが、最近はコンスタントに週1回練習場へ通っています。 

tanaka-sr.hatenablog.jp

 

今日も朝、いつもの練習場へ行って練習を終えてから事務所に出勤しました。

8月24日・25日は社労士試験の関係で練習できませんでした。

僕程度のレベルだと、1週休むと感覚がくるってしまうものです。

それほど球数は打ちませんが、今日も朝から蒸し暑くてイイ汗かきました。

 

今後の予定では、10月に商工会議所の30周年記念コンペ、11月に埼玉会の支部対抗ゴルフ大会にエントリー予定で、季節も良くなってくるし、楽しんできたいなぁと思っています。

 

 

ドライバーは初心者向きの良いものを入手して、だいぶ安定してきました。

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あとは、やっぱりアプローチとパットです(@_@;)

こればかりは練習場では本番の感じを練習できませんね。

 

同じ支部T大師匠や最近伸び盛りのN先生にアドバイスをいただきながら、「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤しています。

 

 

働き方改革窓口相談 at 狭山

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今日は、狭山商工会議所働き方改革支援センターの窓口相談を担当してきました。

前回、8月のお盆中に志木市商工会で担当して以来2回目です。 tanaka-sr.hatenablog.jp

 

前回は、日本国中お盆休み中ということで、来場者もなく終わってしまいましたが、今回は相談者があるのかなと期待して行きました。

ポスターも自分で貼り、ミニのぼりもデスクにON!

用意は万全です。

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結果、相談者「0」(T_T)

 

あまりPRできていないようです。

商工会議所の課長さんや専務さんとお話しして、商工会議所の会報に働き方改革の無料相談をやっていることを載せてもらえるようお願いをしてきました。

 

たまたま自分が商工会議所で監事をやらせていただいているので、局長さんや専務さんと話をしてお願い事とかできますが、他の窓口はどうなっているのか。

 

ここは頑張らねばね。

 

令和元年度最低賃金 速報

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7月30日に開催された中央最低賃金審議会の令和元年度最低賃金目安額回答をうけて、各地で地域別最低賃金の決定が公示され始めました。

 

tanaka-sr.hatenablog.jp

 

 

今年度は初めて全国加重平均額が900円を超えた(901円)ことを受け、埼玉県はどうなることかと思っていましたが、やはり28円増額でした。

pc.saiteichingin.info

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このようなものを顧問先事業所へお配りしています。

900円超えは中小企業にとってかなりキツイデスネ。

この金額まできても、いまだに「103万円未満で働きます」というパートさんも多くて、人手不足という意味でもキツイデス。

これで上げ止まったわけではないというのが一番大変なのですが。

 

さあ、これをどう乗り越えて企業の適正な利潤確保と快適職場の確立につなげるか。

諸兄、腕の見せどころです。

 

 

消費税改正とインボイス方式

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いよいよ消費税10%引き上げまで1か月を切りました。

 

今回の改正は、軽減税率についてクローズアップされていますが、中小事業者にとっては令和5年10月から開始される「適格請求書保存方式(いわゆるインボイス方式)」の導入が経営上深刻な影響の出ることが予想されます。

 

そもそも消費税とは、事業者が商品やサービスを提供するときに消費税が課され、課税売上に伴い預かった消費税から課税仕入れに伴い支払った消費税額を差し引く(「仕入税額控除」と言います。)ことで計算され、納税します。

 

ただし現在の税法では、基準期間(全前年度の計算期間)における売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として消費税の納付の必要がない「免税事業者」となり、仕入税額控除計算をした結果手元に残る消費税を納めなくても良いことになっています

本来この制度は、中小業者の事務負担軽減を目的として設けられたものなのですが、これが「益税」となり、実際これを利用した節税を行っている方も多いと思います。

 

今回これを解消する目的で、インボイス方式を導入しようとしています。

 

「請求書等保存方式」 → 「適格請求書保存方式」

インボイスとは、売り手が買い手に対し、販売する商品・サービスに適用される消費税率や消費税額等を伝える請求書等の書類です。

財務省のホームページによると、インボイスとは

① 課税事業者は相手方から求められた場合「インボイス」の発行が義務付けられており、また、自ら発行した「インボイス」の副本の保存が義務付けられている。

②「インボイス」に事業者登録番号・軽減税率の対象品目がある場合はその旨・適用税率・税額の記載が義務付けられている。

③ 免税事業者は「インボイス」を発行できない。したがって、免税事業者からの仕入れについて仕入税額控除ができない

<財務省> 適格請求書等保存方式の導入

 

前掲の仕入税額控除を受けるために、現在の「請求書等保存方式」では、帳簿の保存に加え、取引の相手方(第三者)が発行した請求書等の保存を要件としていますが、請求書等に適用税率・税額を記載することは義務付けられていません。
これが、インボイス方式になると適用税率と税額を記載することが求められるとともに、消費税の納税額を計算する際に、預かった消費税額から控除をする消費税(仕入税額控除)について、登録された「適格請求書発行事業者」が発行した「適格請求書」(インボイス)に記載された消費税額に基づき計算をすることになります。

インボイス導入後は、「何に使ったのか(非課税・不課税)」だけでなく、「誰に支払ったのか」も仕入税額控除の問題になるということです。

<国税庁> 消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書保存方式が導入されます

 

この意味が分かるでしょうか。

大事なところは、仕入税額控除をするために必要なインボイスを発行して取引相手に渡せるのは税務署から登録をうけた課税事業者に限られ、免税業者はインボイスを交付することができないということです。

即ち、事業者が免税事業者から仕入を行った場合、その仕入については仕入税額控除が適用されませんから、免税業者に消費税を支払ったとしてもその金額を自分が預かった消費税額から控除することはできません。

結果、課税事業者から仕入れた場合よりも納税額が多くなってしまいます

そうなると、支払う以上きっちり控除したいですから、免税事業者からの仕入を回避することとなり、免税事業者は事業者間取引から外されて、経営悪化に直面することが予想されます。

 

 

免税業者はかなり困ることに

インボイス方式では、免税事業者はインボイスを発行できないのですから、売上に伴い消費税額を預かることが出来ません(預かってもいいですが、取引の相手が損をするのですから、実際預かれませんよね)。

しかし、その売上高を獲得するための仕入れや諸経費等の支払いはあり、そこには消費税が上乗せされて支払いをする必要があります。


本来、間接税である消費税は、
預かった消費税額ー支払った消費税額が事業者の消費税の納税額となり、支払った消費税額が預かった消費税額より大きい場合にはその差額が還付されます。
しかし、免税事業者は、消費税の申告をすることがないため、その還付を受ける余地がありません。
結果的に、免税事業者は、支払った消費税を自腹で負担しなくてはいけないことになるわけです。


今まで消費税の納税義務がなく益税を享受していた免税事業者が、今度は益税がなくなるどころか消費税を自腹で負担をしなくてはならないのですからその影響は甚大です。

また、上述のように、インボイスを発行できない事業者との取引はそもそも回避されてしまうので、売上自体が激減することも予想されます。
そのため、ほとんどの事業者は自らが課税事業者となることを選択するはずであり、免税事業者は実質的に「絶滅」することになるでしょう。

 

 

免税業者を止めると事務作業も増えます

また、インボイス方式が導入されると、確実に事務作業が増えます。

① インボイスは発行者、受領者双方で保存する必要があるため管理の手間が増える
② 仕入が発生する度に、課税事業者のインボイスと、免税事業者の請求書を分ける作業が増える
③ 「〇〇一式」といった表現で商品をまとめて記載をしていたのが、商品ごとに分けなければならないため、請求書を発行するシステムの入力作業が増える

 

このようにインボイス制度は、免税事業者の経営に影響を与えると予想されるため、2021年までをめどに、事業者の準備状況や事業者取引への影響の可能性などを検証し、必要な場合には一定の措置を講ずることとされています。

今後、インボイス制度を予定通り導入するか活発な議論・検討をされると思われますが、個人事業主が多いこの業界の一員として注目していきたいと思います。

 

 


 

難しさと醍醐味

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社会保険労務士のメインの仕事の一つである労務管理

俗にいう「第3号業務」ですね。

コンサルティングです。

 

実に難しい。

 

特に最近は「人を大切にする労務管理」とか「快適な職場環境を構築してES(従業員満足度 Employee Satisfaction)を上げることが生産性向上になる」と言われます。

 

一方、一部で「をもって尊し」とする日本的な労働慣行が崩れて個人主義が進み、成果主義であったりとか、自分さえよければよいと考える従業員が増えてきたりとか、組織を維持するために厳しいルール管理をする必要もあったりします。

 

私たち社会保険労務士の仕事は、顧客である事業主さんと一緒に、その事業所にとって最適解となる労務管理考え提案し、維持していくことなのだと、考えています。

 

 

最近、保育園の園長先生とお話しすることが多いです。

28日にも、埼玉県少子政策課様と埼玉県社会保険労務士会とで進めている事業で、滑川町にある社会福祉法人立保育園さんへ2時間の相談業務に行ってきました。

処遇改善加算制度についてのご相談です。

処遇改善加算制度はよくわからないけど、保育に関しては自信をもって行っていますと胸を張っておっしゃられていました。

この園長先生は、無認可保育所を長年やってこられた方で、しっかりした保育理念と信念がその言葉から感じられ、僕も勉強になりました。

また、職員さんもノビノビと楽し気にお仕事をされていて、こういう環境なら通園する子供たちも良い子に育つだろうなと感じました。

 

これとは別の保育園では、園の方針に従わず、自分本位の行動をしたり自分の利己的な考えを他の職員に押し付けたりする「暴れる職員」に悩まされ、あげく秩序維持の必要性から厳しい労務管理を行おうとする相談もあります。

 

甘々な管理をして職場秩序を維持できなくなり、「仕事のできる人から止めていく」という悪循環にはまっては元も子もありません。

言うことを聞かない従業員に対しては懲戒処分をもって厳しく対処し、雇用契約の本旨である労働義務の履行を追求するということも、ある場面では当然必要です。

職場秩序を守ることは、真面目に、普通に、やる気を持って働いている従業員を守ることにもなりますし、働きやすい職場環境を作ることにもなります。

 

これはどちらが正しいという問題でもないのですが、最終的には「理念への共感」「目的の共有」といったことをきちんとしているのかどうなのかということになってくるように感じます。

統制管理や懲戒処分を裏付けとした支配的な労務管理を行うとしても、その前提として、従来「社会人としての常識」といわれていた遵法性、協調性、従順性を「なぜ必要なのか」という視点でしっかり理解させることを怠り、「ダメだから解雇」とか「はい、始末書」という処分をしても溝は深まるばかりで、結局誰も得をしないことになってしまいます。

 

 

僕も若いころは、従業員に勝手な判断や行動をさせない統制管理を行うような就業規則を作ったりしていた記憶があります。

 

それでも当時は、現代に比べて労働者はもっとたくさんいて、景気も良くて、その意味では職業選択の自由が実質的に保障されていたころでしたから、それほど問題になりませんでした。

ところが現在は、労働人口の減少が著しく、優秀な従業員は探して獲得するものではなく「導き育てるもの」になってきています。

 

平成から令和の時代となり、滅私奉公を美徳とする仕事人間は減少し、ワーク・ライフ・バランス(work–life balance 仕事と生活の調和)ディーセント・ワーク(decent work 働きがいのある人間らしい仕事)の確立が重要となりました。

これは、国連で採択された行動計画であるSDGs( Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)の中でもカギとなる要素となっています。

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100社あれば100通りの解答がある。

 

ここに社会保険労務士の仕事の難しさと醍醐味があります。

 

思ひつつ

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思ひつつ ぬればや人の 見えつらむ 夢としりせば さめざらましを

 

古今和歌集にある小野小町の詠んだ和歌です。

 

切ない恋心を詠んだ歌で、大のお気に入りの一つです。

ちょっと古くなりますが、大ヒットした映画「君の名は」のトリガーとなったものでもあります。

 

小野小町六歌仙の一人ですが、ストレートに心情を詠ったものが多く、現代の感覚でも共感できます。

「好きな人を思いつつ眠りについたので夢に現れてくれたのですね。夢とわかっていたら目覚めなかったのに」という切ない思いをそのままに詠んだもので、時代を超えて心に訴えかけます。

 

小野小町といえば、もう一首。

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

も有名です。

これも好きな一首で、長雨に色あせて散りゆく桜を惜しむことと、これに老いゆく自分の儚さを重ね合わせて、無常を詠ったもので、テクニックの素晴らしさとともに美人として名高い小野小町が詠うことでの特別な感慨があります。

 

六歌仙は、古今和歌集の仮名序に編者の一人である紀貫之が、優れた歌人として名前を挙げている6人のことをいいます。

小野小町のほか、在原業平僧正遍昭喜撰法師大友黒主文屋康秀の5人です。

 

小野小町三十六歌仙にも名を連ねる歌人ですが、その詳細は不詳です。

それがまた和歌にミステリアスな魅力を添えます。

 

 

保育士宿舎借り上げ支援事業 → 労働保険料

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保育園宿舎借り上げ支援制度事業の絡みで、社会保険料算定をするときの現物給与取扱いについて、15日のブログで書きました。 

tanaka-sr.hatenablog.jp

 

今回は、労働保険料労災保険料雇用保険料)の取扱いです。

 

労働保険では現物給与について、通達(昭和22.9.13基発17)で次のように取り扱うよう指示しています。
 
現物給与は次の2点において、原則として「賃金」に当たる。
① 所定貨幣賃金の代りに支給するもの(その支給により貨幣賃金の減額を伴うもの)
② 労働契約において、予め貨幣賃金の外にその支給が約束されているもの
 
ただし、次の2点に当たるものは、例外として「賃金」に当たらない。
① 代金を徴収するもの(ただしその代金が甚だしく低額なものは別)
② 労働者の厚生福利施設とみなされるもの
 
このように福利厚生として住宅施設を無償で供与されている場合、原則として賃金とされません。
 
ただ、ややこしいのは、住宅の貸与を受けていない者に対して均等手当(住宅の貸与を受けている人はタダで住めて、そうでない社員は住居の費用を自己負担するというのでは均衡に失するので、住宅を貸す代わりに金銭でバランスを取る目的で支給する手当)が支給されている場合です。

住宅の貸与を受けていない者に対して均等手当が支給されている場合は、通達(昭30・10・10基収2386号)で次の取扱いとなります。
例外の例外ですね。

「住宅の貸与を受けない者に対して定額の均衡給与(住宅を貸与されている者との均衡上支給されるいわゆる住宅手当)が支給されている場合には、住宅貸与の利益が明確に評価されているのであるから、その評価額を限度として住宅貸与の利益を賃金として取扱う。」

例えば、家賃6万円の住宅を会社から無償で貸与されている人に対し、持ち家に住んでいる社員には3万円の住宅手当が支給されていたとすれば、3万円(均等手当の額)が賃金とみなされるんですね。
 
だがしかし!
に、「均衡給与が支給されている場合であっても、均衡給与の3分の1以上の額を住居の借料として徴収する場合には、福利厚生施設とみなす。」(昭30・10・10基発644号)という通達があります。
例外の例外の例外か!

持ち家の従業員には3万円の均衡給与を支給し、家賃6万円の住宅の貸与をうけているものからは1万5千円の家賃を徴収していた場合、結局は「賃金」に当たらないことになります。
均衡手当としての住宅手当は当然「賃金」に当たりますが、6万円-1万5千円=4万5千円の利益を受けている従業員の住居の利益は「賃金」に当たらないというのは、なんとなく腑に落ちませんね。
 
なお、均衡手当の3分の1未満の額を賃料として徴収していた場合は、実際の費用の3分の1と賃貸料の差額が「賃金」となります。