田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

厚生年金、加入逃れ対策強化 雇用保険の情報活用

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厚労省日本年金機構は、厚生年金保険の加入逃れ(加入漏れ)対策として、取り締まりを強化することを発表しました。

www.nikkei.com

 

具体的には、2020年4月から4年間を集中対策期間とし、雇用保険加入者情報をもとに34万件ともいわれる社会保険加入対象事業所に対して、適用指導を強めていくということです。

まずは、従業員5人以上、若しくは家族以外の従業員を雇用する法人事業所の未加入解消から始めるとのこと。把握されている数が5,000軒ということですが、2021年度までの2年間で適用を終える予定で進めると。

雇用状況が分からない事業所に対しても、個別訪問をして実態把握をし、対象と判明した場合は、2023年度までにこれも適用させると、こういうことです。

 

これまで日本年金機構は、国税庁からの源泉徴収に関する情報提供を受けて適用勧奨をしてきました。

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2015年末に97万件あった未定期用事業所が34万件まで減ったのですから一定の成果は上がったようですが、残り3分の1適用に向けて強化するということですね。

 

参考資料:被用者保険の適用拡大関係資料集ー厚生労働省.pdf

 

問い合わせに応じないなど故意に適用逃れをしている悪質な例も多い半面、経営・資金繰り的に加入できない事業所もあるのが現実で、現場を見ている社会保険労務士としては「うーん」となるところです。

労務管理や賃金管理といった面では力になれるのですが、受注金額の低迷や優越的地位の濫用による消費税や諸費用の押し付け、売れ残り商品の強制的な買取など経営を圧迫する要素に対する支援は難しいです。

  

 

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上記のような流れで、進めるということですが、年金事務所の職員数だけで全ての戸別訪問まで手が回るのか疑問です。

恐らく入札で民間企業に委託するのではないかと思いますが、社会保険労務会が手をあげるのか、もしくは随契で受注するのか、気になります。

また、他の民間企業がこれを行う場合でも、訪問した現場で問題にならないか心配でもあります。

 

5人以上の従業員を雇用する士業が任意適用から強制適用になることについては以前にこのブログに書きましたが、加入促進にかなり本気で取り組んでくるということが見受けられます。 

tanaka-sr.hatenablog.jp

 

未だ社会保険を適用できていない事業所においては、もう時間がありませんので早めに社会保険労務士へご相談いただきますよう、ご検討いただきたいです。