労働保険 非該当承認申請をしたときの年度更新事務
複数の営業所等を持つ事業において労働保険の適用手続きをするときの話です。
労働保険においては、その適用は場所単位で行いますので、例えば埼玉県に製造工場(本社)を持つ洋菓子製造卸売りを行う企業が都内に販売店舗を出店した場合、それぞれが労働保険適用事業所となり、それぞれ独立して申告納付を行います。
本社工場の同じ敷地内に直売所を作り、そこで販売を始めた場合は、同じ敷地内なので包括的に適用されることとなり、工場と販売所を分けて適用することはありません。
原則はこういうことなのですが、多店舗展開している企業では1個1個手続きをするのは煩雑で面倒です。
これを解消する手段として「労働保険の一括」という制度があります。
これを利用すると全ての営業所を取りまとめて1回の申告納付で終わります。
ただ、制度上「労災保険適用事業細目が同じ事業所」しか一括できないので、なんでもかんでもまとめられるわけではありません。
上にあげた例だと、埼玉にある本社は「食品製造業(4101)」、東京にある販売店は「卸売・小売業(9801)」なので一括できないことになります。
ちなみに、一括の効果は 労働保険料の申告納付についてのみ で、適用はあくまでも事業所ごとに成立しています。
ですから、労災事故があった場合は当該被災者が所属する事業所を管轄する労働基準監督署に申請します。
さて、ここからが個人的備忘録。
とはいえ、販売店では一切の労務管理も人事管理も行っておらず、せいぜいタイムカートによる出退勤記録を行っているだけなので、雇用保険の手続きは本社でまとめて行わざるをえません。
そんな時は、「雇用保険事業所非該当承認申請書」を販売店を管轄するハローワークに提出します。
これにより雇用保険の被保険者資格取得届や離職票発行手続きは、本社を管轄するハローワークで全員分を行うことができるようになります。
この結果、労働保険番号は2つ(111~と131~)、雇用保険事業所番号は1つとなりますが、東京の販売店は労災保険のみの片保険適用となるのでしょうか?
これがなりません。
非該当承認申出による認可は、あくまでも 雇用保険の得喪等事務手続きのみにおいて効力を持つ ものであり、一括できない以上保険適用は原則通り別々になります。
ですから、両事業所とも労災・雇用両保険適用で、年度更新手続きのときにはそれぞれの所属する労働者について集計し、記載し、届け出ます。
もともと別成立していたものについて非該当事業所承認を受けると、非該当対象施設の被保険者の全員が自動的に統合されて、非該当対象施設の持っていた雇用保険事業所番号は消滅します。
でも、雇用保険被保険者がいなくなってしまうわけではないのでお間違えなく。