田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

ザイアンスの法則 

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新型コロナウイルス感染症パンデミックからこっち、めっきり人と会うことが少なくなりました。

思った以上に自分が寂しがり屋であることを認識させられました。

 

特に今年は雨が多く、深夜に静かに降る雨音を聞きながら事務所にいると、一人である実感がひしひしと感じられます。

 

自分のビジネススタイルが顧問先へ行って直接話を交わすものであったので、リモートワークをはじめとした世の中で直接会わないことを推奨する流れにはやりにくさを感じています。

 

マーケティングを学んでいると、単純接触効果(ザイアンスの法則)を利用した営業手法がでてきます。

1968年にアメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが発表した心理法則で、

「人間は全く面識のない相手には冷たく接し攻撃的になるものの、その後顔を合わせる回数を増えるごとに好意が増していく。また、人間的な一面を見たときに一層強く相手に好意を持つ」

というものです。

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これを最もよく表現したものがテレビCMですね。

繰り返し流れるCMを目にするたびに宣伝されている商品やタレントなどを無意識に好意を持つようになります。

 

また、アメリカのペンシルバニア州立大学の心理学者ジェームズ・ボッサードが発見した「ボッサードの法則」というものもあり、これは、男女間の物理的な距離が近いほど心理的な距離は狭まるというものです。

 

この二つの心理法則からすると、「直接会うこと」にはコミュニケーション上大きな意味があることが分かります。

 

特に社会保険労務士という仕事は、単に結果だけを提供するのではなく、クライアントとともに問題解決のプロセスに主体的にかかわっていくことが多いです。

 

単純に労働保険の年度更新事務や社会保険算定基礎届を代行しているだけであれば、顧問先を訪問することもさほど必要ではなく、電子メールやFAX、電話で用が済みますし、仕事も完結します。

ですが、労務管理、労使トラブル(労働紛争)という案件については、問題のコアとなる原因の把握とその解決に向けた意思決定プロセスをクライアントと共有していかなければ最適解に到達することができません。

 

そのためには平素から信頼関係を築いておくことが大事で、普段から「直接」「何度も」会ってお互いを良く理解し、良好な人間関係を維持しておくものです。

 

一度強化な信頼関係を作っておけば、そう簡単になくなるものではないですが、それでも会わない期間が長くなれば緩んできてしまいます。

そう、これは心理法則なので「上書き」が当然起こります。

 

しばらく物理的・精神的・時間的に離れていた場合、その間に他の人物が短いスパンで繰り返しあっていたりすると、いままでこちらに対して抱いていた好意がその人物への好意に上書きされてしまいます。

遠距離恋愛は大変だと聞くのもこのあたりの心理があるのでしょう。

 

人と人のつながりは強固のようで危うく、危ういようで揺るぎない。

仕事でもしかり、恋愛でもしかりでしょうか。