中央最低賃金審議会 激闘の末答申
昨日18時から開始された中央最低賃金審議会は、夜を徹して議論が戦わされ、歩み寄りが見られないまま22日午前9時に再び中断。
改めて15時から再開され、2020年度地域最低賃金改定について「現行水準維持が適当」と加藤厚生労働大臣に答申しました。
新型コロナウイルス禍による景気低迷を理由に引き上げ凍結を主張する使用者側に対し、内需喚起による経済再生に賃上げは不可欠とする労働者側が真っ向から激突し、最終議論が20時間を超える異例の事態になったのは、今年度の特殊性を象徴すると言えましょう。
中央最低賃金審議会が引き上げ額の目安を示さなかったのは、リーマン・ショック後の2009年度以来11年ぶりです。
安倍首相による骨太の改革のもと、4年連続で3%の引き上げが続いてきましたが、先行きが不透明な経済状況下での雇用維持を最優先した結果となりました。
この方向性はある程度予想されたものでしたが、これから開催される地方最低賃金審議会で最低賃金の引き上げは抑制され、ほぼ横ばいの金額設定となるでしょう。
第2次安倍内閣は、勤労者の所得増による消費拡大をデフレ脱却のエンジンにしようと考え、経済の好循環を目的に最低賃金大幅増を示唆してきましたが、ここで足踏みすることになります。
これで経済対策はほぼ手詰まりとなり、まずは新型コロナウイルス感染拡大の終息が一丁目一番地となります。
「脱コロナ」というか、「アフターコロナ」の経済政策をどうするのか、方向性は早く打ち出してもらいたい所であり、また少しでも早く指し示すことが政治の責任であると思います。
9月末までは、雇用調整助成金をはじめ様々なセーフティネットが用意されていますが、10月以降どうするかは何も決まっていません。
社会保険労務士は、助成金の受給でしのぐということだけでなく、どうやったらできうる限りの雇用維持を継続して業況改善につなげていくのかを考え始めなければなりません。
中小企業の経営指南と言えば中小企業診断士が専門家でありますが、いつも経営者や従業員に寄り添い、現場を見ている社会保険労務士も経営・経済に関するアドバイスをする責務を負っていると考えています。
社労士仲間とも研鑽を行い、互いに高めあいながら「人の役に立つ社労士」を目指して頑張っていきます。