田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

令和2年度地方最低賃金答申

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先月24日に終結した中央最低賃金審議会で今年は目安額が示されなかったことはブログに書きました。

 

tanaka-sr.hatenablog.jp

 

これを踏まえた地方最低賃金審議会が各都道府県で開催され、地域別最低賃金の答申が出そろいました。この後異議申し立てがなければ同じく答申された発効予定年月日に実効化されます。

 

ということで、当事務所でも速報を作成して各顧問先様へお配りします。

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今年は中央審議会の流れで引き上げ額は0円~2円にとどまり、全国加重平均で前年度比1円上昇の902円となりました。

 

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出典:時事ドットコムニュース

 

最高額は据え置きとなった東京都の1,013円、最低額は秋田、鳥取、島根、高知、佐賀、大分、沖縄の792円で地方格差221円という結果で、「経済の好循環」を目的にここ4年連続で20円台半ばの引き上げが続いていた増額は足踏みです。

 

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 出典:内閣官房全世代型社会保障検討会 令和2年6月

 

 

この結果について意見は立場によっていろいろとあるものと思いますが、この内閣官房の基礎資料にあるとおり、今回最低賃金改定の結果賃金引き上げを行わなければならない業種(つまり、最低賃金で就労している労働者が多い業種)が、まさに新型コロナウイルスによる影響を強く受けた業種と重なるところが原因として大きいと思われます。

 

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 出典:内閣官房全世代型社会保障検討会 令和2年6月

 

また、中小企業の業況感が著しい悪化を示していることも要因だと考えます。

 

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 出典:内閣官房全世代型社会保障検討会 令和2年6月

 

8月17日には内閣府国民経済計算部から2020年4月~6月四半期別GDP速報が発表されましたが、△7.8%(年率27.8%)と民間予測を超える低成長率となったことが衝撃的に伝えられたところです。

 

「早く」「遠く」「手軽に」移動することができる様になった現代社会では、「新しい感染症」が計り知れない被害をもたらすことを知りました。

 

感染症予防を前提とした”New Formal”と銘打った生活習慣を定着させ、ウイルスとの”共存”した経済発展を図ろうとしていますが、そう簡単に変えられるものではありません。

 

やはり会うべき時は会わないとできないこともあり、1日も早く治療薬ができて感染症を恐れずに済む日が来ることを願う今日この頃です。