骨太の方針・成長戦略2019
政府は21日、2019年版の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)と成長戦略を閣議決定するという記事が載っていました。
上の画像は「骨太の方針2018年」から引っ張ってきたものですが、概ねその方向で政策を推し進めてきたことが分かります(実行化したかということについては詳細な検証が必要ですが)。
10月の消費税率10%への引き上げを明記するとともに、最低賃金を早期に時給1,000円に引き上げることで増税に備えた内需の下支えとすることを考えているようです。
過去3年間の骨太方針では「最低賃金を年3%程度引き上げ、全国平均1,000円を目指す」と記していましたが、今回は上げ幅を明記せず「より早期に」との文言を加える方向だそうです。
中小企業をはじめとする経済団体への配慮(選挙も控えていますしね)で具合的な数値は避けたのでしょうけど、逆に言うと「早期に実現するため3%を超える引き上げもありうる」という含みがあると読めますね。
「経済財政運営と改革の基本方針 2019(仮称)」骨子(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/0531/shiryo_05.pdf
5月22日に開かれた会合で、自民党の最低賃金一元化推進議員連盟(会長・衛藤征士郎氏)最低賃金引き上げに関する提言をまとめ、6月5日「2020年代の出来るだけ早期に全国平均1,000円以上に引き上げる」ことを根本厚生労働大臣に要請しました。
最低賃金一元化推進議連幹事長の山本幸三氏は「最低賃金の全国一元化は地方創生のカギだ」と述べたそうです。
そうはいっても今の首都圏と地方の経済格差を考えたら、全国一元化は無理じゃないかなぁと思いますけど。
景気回復の実感が乏しいと言われている中、政府自体も今年3月の景気動向指数が「悪化」したことを認めていますが、何の手も打たずに消費税増税と最低賃金引上げを行えば(どちらも10月なんですよね)、確実に経営悪化に陥る企業が出てくるだろうことは予想できます。
働き方改革も含め、この問題も経済政策としては「卵が先か、鶏が先か」という議論になっていくので、僕個人としては単純に「NO」とは言いませんが、マクロの部分では何もできないので、しっかりとした政策を講じていただきたいということしかありません。
その他、2019年版では、社会保障の支え手として女性や高齢者の就労を促し、社会保障制度の維持図ることも明記するようです。
「勤労者皆社会保険制度」の実現を掲げ、厚生年金の適用を広げる方針を示すということですから、今後社会保険未加入事業所への加入促進はもう一段ギアが上がりそうです。また、総合調査も頻度と内容が厳格化されることが予想されます。
また、高齢者の就労促進を成長戦略と連動させて、70歳までの就業機会の確保を努力義務にする法改正を明記するとともに、高齢者の就労意欲を削ぐと従来から言われてきた在職老齢年金制度について将来的な制度廃止も視野にあり方を見直す方針です。
先日来叩かれている「2000万円不足問題」は、一生働くことで解消される(?)かもしれませんので、このあたりの法改正は急ピッチに進められるのかなと思ったりしています。