田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

働きやすさ 企業に開示義務

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厚労省は、2020年にも、従業員の働きやすさを測る指標の開示を企業に義務付ける方針を示しました(3月6日 日本経済新聞)。

 

対象となるのは、従業員数301人以上の大企業で、「育児休業の取得率」「有給休暇の取得率」「平均残業時間」等複数の項目のうち1つ以上を公開するように求めるようです。

応じなければ、勧告し、従わなければ企業名公表も検討ということですから、結構本気です。

今国会に提出予定の女性活躍推進法改正案に盛り込まれます。

 

現在の女活法では、女性採用率や管理職率、男女ごとの競争倍率、中途採用の実績等14項目の指標の中から1つ以上の開示をすることになっています。このなかには、育児休業取得率など働きやすさに関する指標も含まれていますが、開示対象となっている企業では女性採用率など女性の活躍度合いに関する指標を選択して開示しているケースが多いようです。

 

今回の改正案では、14項目の指標を「仕事の機会に関するもの」と働きやすさを示す「家庭生活との両立に関するもの」の2つに分離し、それぞれについて1項目以上の開示を義務付けるものになります。

対象企業は、自社のHP等で開示し、原則として年1回以上の更新も義務付けます。

 

 

これも一億総活躍(総労働)社会実現のための施策ですね。

確かに、2018年の女性就業数は2946万人で、前年からの増加数は87万人と男性の約2倍と、政府の思惑に沿った流れになってきているようです。

2019年は10月に3歳以上児の保育料無償化も始まる予定ですし、就業数はもっと増えることを見込んでいるのでしょうが、家庭生活における役割がまだまだ多い日本の社会環境下で、「自己実現のために働く」ことを誰もが選択できるようになるには、多くの障壁を破っていく必要があります。

 

私たち社会保険労務士が、その推進役になれるよう、これからも研鑽を積むことが大切だと感じました。