田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

年末調整 寡婦(寡夫)控除と配偶者控除

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このブログは、個人的備忘録、もしくは仕事上のtipsとして使ってます。

今回は年末調整の扶養控除申告書について。

 

 扶養家族が死亡された場合、当該年の年末調整においては扶養控除対象家族として申告することができるのは周知のことです。

 一方、一定の条件に当たる寡婦寡夫)は寡婦控除(寡夫控除)が受けられます。

 あれ、寡婦寡夫)って妻(夫)がいないことをいうとすれば、亡くなった被扶養者が妻(夫)であった場合、矛盾しないかな。

と思って調べました。

 

 結論は、その年に限り、配偶者控除寡婦寡夫)控除も両方とも控除申告をすることができるということです。もちろん扶養親族がいて合計所得金額500万円以下なら特別の寡婦も。

 

 一瞬、被扶養者がいるから受けられる扶養控除(配偶者控除)と、配偶者がいないから受けられる寡婦寡夫)控除は概念的に両立しないと感じてしまいます。

 

 ですが、「控除対象配偶者又は寡夫に該当するかどうかは、通常その年の12月31日の現況により判定することになっていますが、控除対象配偶者が年の中途で死亡した場合には、その死亡時の現況により判定することとされています。」ということなので、配偶者控除寡夫控除の両方について適用できます。

 したがって、まず、配偶者控除については、配偶者が死亡した時点で判定することとな りますので、この時点で、生計を一にしているなどの控除対象配偶者としての要件が満たされていれば配偶者控除が受けられます。
寡婦寡夫)としての要件を満たしているとのことですから、これも受けられることとなります。

 (所得税法第85条第1項、第3項、所得税基本通達81-1

 

 

<参考> 国税庁 タックスアンサーから

寡婦(一般の寡婦とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次のいずれかに当てはまる者

(注)「夫」とは、民法上の婚姻関係をいいます。

  1. 夫と死別し、若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
  2. 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などの要件はありません。

◎一般の寡婦に該当する人が次の要件の全てを満たすと、特別の寡婦に該当

  1. 夫と死別し又は夫と離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
  2. 扶養親族である子がいる人
  3. 合計所得金額が500万円以下であること。

寡夫とは、納税者本人が原則としてその年の12月31日の現況で、次の三つの要件の全てに当てはまる者

  1. 合計所得金額が500万円以下であること。
  2. 妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
  3. 生計を一にする子がいること。
    この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。

(注) 「妻」とは、民法上の婚姻関係にある者

    内縁の妻はこれに当たらないので注意!

    なお、未婚の母も寡婦に当たりません。