田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

飲食接待

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出典:NHK

 

12日、山形労働局山形労働基準監督署の署長が利害関係のある団体から飲食の接待を受けていたとのニュースが報道されていました。

元署長、前署長、現署長の3人が対象ということで、現署長が厳重注意処分、前署長が戒告処分、元署長は既に現役を退いているということで処分なしなのだそうです。

なお、トップである山形労働局長は口頭注意・指導処分。

 

www.asahi.com

 

利害関係のある団体ってどこなんだかはともかくとして、3つの団体の総会懇親会とか賀詞交歓会とか安全大会懇親会とか、そんなとこの懇親会に出席したけど飲食代の全額または一部を負担していなかったということなんですね。

 

折も折、総務省の接待問題が盛り上がっている中ですので「こんなところにも」と思いましたが、実際は現署長が昨年3月に倫理規定の解釈等について局に相談し、それを受けて2009年度まで遡って聞き取りや領収書の調査を行った結果明らかになったという流れです。

 

判明した金額は3人総額でおよそ81,000円。

金額的には総務省の接待と桁が違いますが、額の問題ではないというところか。

 

国家公務員倫理規程では第3条に次のように禁止行為を定めています。

 

(禁止行為)
第3条 職員は、次に掲げる行為を行ってはならない。
一 利害関係者から金銭、物品又は不動産の贈与(せん別、祝儀、香典又は供花その他これらに類するものとしてされるものを含む。)を受けること。
二 利害関係者から金銭の貸付け(業として行われる金銭の貸付けにあっては、無利子のもの又は利子の利率が著しく低いものに限る。)を受けること。
三 利害関係者から又は利害関係者の負担により、無償で物品又は不動産の貸付けを受けること。
四 利害関係者から又は利害関係者の負担により、無償で役務の提供を受けること。
五 利害関係者から未公開株式(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されておらず、かつ、同法第67条の11第1項の店頭売買有価証券登録原簿に登録されていない株式をいう。)を譲り受けること。
六 利害関係者から供応接待を受けること。
七 利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること。
八 利害関係者と共に旅行(公務のための旅行を除く。)をすること。
九 利害関係者をして、第三者に対し前各号に掲げる行為をさせること

国家公務員倫理規程解説 [PDF] - 人事院

 

一方、一定の場合には例外も定めていて、一切の飲食がNGなわけでもありません。

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国家公務員の倫理保持のためのルール

今回の懇親会がこの例に当たらなかったという判断になったのでしょう。

 

社会保険労務士会でも労働基準監督署長さんをはじめ、方面主任さんやハローワーク所長さん、課長さんなどには研修講師をお願いしたり、総会や新春例会でご講話をお願いしたりしています。

 

そのあとは倫理規程に則った形で懇親の場をご用意し、そこでは普段なかなか聞けないような労働行政の在り方をうかがったり、日々業務の中で感じた疑問などの相談に乗っていただいたりして、互いにとってより良い関係を保ってきています。

 

その場では接待して利を計ろうとかそんな他意はなく、より良い労働環境の構築に協働していこうというものなのですけども、やっぱり「利害関係人」になってしまう以上気を付けなくてはなりません。

 

いままでも苦労してより良い関係性を保とうと努力してきたのですが、今回の事件でもしかすると出席NGとなってしまうかもしれません。

まあ実際、署長さん達にとってはこれも「仕事」なのですから、全面的に禁止となればそれはそれで気が楽になるのかもしれません。

 

これからの支部運営にとっても面倒なことが増えたなと、ちょっとため息の出たニュースでした。