田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

給与デジタル払い解禁か?

 

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このところ給与計算業務が増えてきました。

 

ご依頼いただくことは大変ありがたいのですが、今年令和3年のカレンダーを見ると結構な地獄のスケジュールとなっています。

特に20日を給与計算締切日としている事業所のものが厳しいです。

 

まずは2月

 

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2月は実質的に26日が月末になるんですよね。

それでもって23日(火)に祝日(天皇誕生日が入るので銀行は休み。

となると、20日締めで土曜休みの事業所だと勤怠データがくるのが早くて22日の午後。

現金払いならともかく、給与振り込みとなると3営業日前までですから、24日に振込手続きですか( ゚Д゚)

 

事務所は2月23日を開所日としていますが、非常に厳しいですね。

 

実際20日締め月末払いって、銀行振り込み全盛の現代ではほぼムリゲーなんですよね。

 

今年調べてみたら、2月と同じ並びが3月と11月に来るんです。

 

そして最悪が7月

 

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顧問先に20日締め25日払い(銀行振込)を続けているところがあって、先日ご訪問したときに担当の社員さんと「これはどうにもならない」と笑ってきました(^-^;

 

22日と23日が祝日となったことで、月末支払のところはともかく、28日払いとしている顧問先さんの給与振り込みは2営業日前の10時まで。

26日出しになりますが、22日・23日は仕事です。

僕はどうせ毎日事務所に出ているからいいとして、職員の皆さんには申し訳ない限りです。

 

そんな話をしているときに日経新聞1面記事が「給与デジタル払い今春に

 

なんですと!

 

 この3月末にも労働基準法に基づく省令を改正し、資金移動業者も対象とすることを認める方針だそうです。

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もともと労働基準法はあくまでも「現金払い」を原則としていて、銀行振込は未だ「例外」扱いにしています。

労働者保護の観点から遅配が生じないようにということであるけれど、銀行振り込みで給与支払を行っている事業所からすれば、いまさら現金払いには戻れないでしょう。

 

米国では既に銀行口座を介しない給与支払の受け皿としてプリペイドの「ペイロールカード」が普及しつつあります。2021年には550億ドル(5兆7000億円)の給与がペイロールカードに振り込まれていて、10年前に比べると2倍超に達する見込みだそうです。

 

もっとも、金融庁等の厳しい統括下にある銀行に比べると、キャッシュレス決済を生業とする資金移動業者は破綻の危険性を無視できません。

また、セキュリティの問題も残ります。

 

手数料については「現金化:月1回無料」とする方向で検討しているようですが、資金移動業者は決済サービスの手数料で稼ぐビジネスモデルなので、それ以上の「無料」を義務付けるのも難しいでしょう。

 

解禁したとしても、当面は数十万円の給与全額をデジタルへ移行するとは考えがたく、従来の銀行振り込みとのハイブリッド支払とか、日払いの支払いに利用される程度かとは思います。

ただ、手続きが簡単で、安くスピーディに給与支払できるということになったときは、現在のように月1回払いではなく、週払いや日払いが日常化する可能性はあります。

 

そうなったときに給与計算といった業務がどうなるのか、なかなかに興味深いところです。

きっとAIで管理してデジタル支払いになるのでしょうね。

その時にはもう紙幣や硬貨は無くなっているかもしれません。