田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

非正規社員雇用者数104万人減(労働力調査より)

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総務省統計局による労働力調査2020年6月分結果が、7月31日に公表されました。

 

完全失業率(季節調整値)は2.8%と、5月より0.1ポイント下がりました。

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出典:労働局調査結果(総務省統計局)

 

7か月ぶりの改善でしたが、新型コロナウイルス感染者は増える一方で、底を打ったとはとても言えない状況です。

 

6月の就業者数は、前年同月比77万人減の6670万人。

正社員が2か月ぶりに増加に転じたものの、非正規社員の雇用数は104万人減の2044万人に落ち込みました。

比較可能な2014年以降で最大の落ち込みです。

 

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出典:労働局調査結果(総務省統計局)

 

再び小池東京都知事から発せられた「8月31日までの営業時間短縮要請」は、飲食店を中心に、非正規従業員の更なる就業率低下に繋がると思われます。

 

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失業者のうち、事業主都合等いわゆるリストラによるものが41万人で、対前年同月比19万人増加しています。

特に、宿泊・飲食サービス業で38万人減、生活関連サービス・娯楽業で22万人減というのが目立つ一方、春までは堅調であった製造業、建設業も雇用が減ってきており、今までは前哨戦、これからが本格的に経済が落ち込むことを示す指標が目白押しで並んでいます。

 

また、失業には至っていないものの、休業をやむなくされている人も236万人と高水準を保っています。経済動向、雇用環境の改善が遅れれば、予備軍ともいえるこの層から更に失業者が大量に発生する可能性があります。

 

雇用維持を目的とした雇用調整助成金も、支給対象・支給要件・支給額拡大措置が9月末で終了します。

雇用調整助成金自体がなくなるわけではありませんが、10分の10支給されていることでなんとか雇用を維持しているものが耐えられなくなり、大企業・終章企業を問わず一気に解雇に踏み切るしか選択肢がなくなるかもしれません。

 

雇用環境の悪化は景気後退に遅れて顕在化してくることからすると、正念場となるのは10月以降。

この4月以降、前例のないカンフル剤を打ち続けてなんとかここまでやってきましたが、秋を迎えて万策尽き果てたなどとならないように、あらゆる要素を検討してその時に備える必要があります。