田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

ロバート議事法

f:id:tanaka-sr:20190702234949j:plain

 

会議にはルールとやり方があります。

それを知らない人達が集まって会議をすると、どうしたってダラダラ会議になります。

 

会議の目的は3つです。

 ① 何かを決める

 ② 情報を共有する

 ③ アイデアを出し合う。


会議がダラダラ会議になる原因の多くは、参加者が会議の目的が①~③のどれかを整理してないことによります。これができていない一番の原因は、会議の進行係(議長)がファシリテータ―としての役割を果たしていないことにあります。


目的があいまいな会議の場合、3つが混在することがしばしばですが、進行係は、今、①なのか②なのか③なのかを参加者に明確に示しておく必要があります。

 

そのためには会議の進行を予め、①・②・③のゾーン(時間帯)を分け、報告事項、決議事項を混在させないことです。(③は必須ではありません。通常は③は「協議事項」であり、ブレインストーミングとして別枠でやるべきです。)


各議案にはタイムリミットを設け、一定時間を過ぎても質問が無くならない説明、いつまでも議論が続く決議事項は、進行係が次回以降に再提出するよう仕切り直す必要があります。ダラダラ会議を無くすには、だれかがこのファシリテーターの役割をする必要があります。

 

ロバート議事(Robert's Rules Of Order)
こうした進行方法の基本に「ロバート議事法」という、議会運営の古典的メソッドがあります。

このやり方は形式ばり過ぎていて、通常の打合せレベルにはそぐいませんが、会議の基本ルールとしてはとても勉強になります。日本青年会議所(JC)やロータリークラブ(最近はRLIという討議方式に変わってきています)などで良く学ばれています。


ロバート議事法のポイント
以下はロバート議事法の基本ルール「4つの原則と4つの権利」です。

 

4つの原則
1.一事一件の原則
議題を明確にし、1つの議題を決議してから次の議題を議論する。2つ以上の議題を同時に議論しない。


2.一事不再議の原則
1度決議したことは、特別なことがない限り、再度議案としない。


3.多数決の原則
意見が分かれた場合は、多数の意見を採用する。ただし定足数以上であること。


4.定足数の原則  
会議の出席数の定足(会員の1/2以上の出席が必要とか)を満たさないと、会議は開催しない。
賛成が定足数(参加者の1/2以上の賛成が必要とか)を満たさなければ、結論としない。

 

4つの権利
1、多数者の権利(過半数の賛成)
多数のものが支持する意見を採択する。


2.少数者の権利(少数意見の尊重)
少数者の意見を排除しない。1人以上の賛同者がいれば議案に上げることができる(動議)。反対や保留があれば、その理由をしっかり聴取し、議事録に残す。


3.個人の権利(プライバシーの権利擁護)
個人のプライバシーにかかわる議論はしない。まして個人の人格に関わる攻撃はしない


4.不在者の権利(委任状・不在者投票
議論の場に不在であっても、委任状、不在者投票などの救済措置をとる。

 

その他のルール

○参加者は、予め次第・議題に目を通しておく

○議長には発言許可権があり、議長の指名によってのみ発言ができる

○1つの議題で同意見を2度以上発言しない

○議案の提案者は提案理由を説明する

○1回の発言は10分以内(現実的には3〜5分以内)

○発言するときは先に、意見であるか、質問であるか、動議であるかを言う

○賛否は多数決で、過半数で採択とする。ただし、前に採択されたものを修正する場合には2/3の賛成が必要。

賛否同数は否決とする。

 

実は、ロバート議事法を知ったのは、かれこれ6年前、初めて理事として埼玉会に出向したときのことです。

第1回目の理事会の席で、石倉会長が声高らかに「本会はロバート議事法に則って議事を進行する。知らない理事は各自調べて次回以降の理事会に臨むように」と宣言されまして、「はて?」と調べたのがきっかけです。

いまも理事会議長としての石倉会長の進行は、いっかなブレません。

 

これ一つだけでも、「大変だけど埼玉会に上がってよかったな」と思っています。

 

士業は一国一城の異能集団です。

これをまとめてあるべき方向へ進めていくのは本当に労力のかかる、骨の折れる仕事です。

ですが、ここでの苦労は仕事にも生きています。

やはり、「苦労は買ってでもするもの」です。