田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

改正健康保険法が成立しました

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健康保険法の改正法が、本日午前の参院本会議で可決、成立しました。

健康保険が適用される扶養家族を  原則として国内居住者に限定する ことが柱で、外国人労働者の受け入れ拡大に伴う医療費の増加を抑えるのが目的のようです。

子どもの海外留学など一時的に日本を離れている場合は例外として認めるということなので、当たり前と言えば当たり前ですが、ちょっと安心しました。

2020年4月に施行されます。

 

平成31年1月17日に開催された「第117回社会保障審議会医療保険部会」にて取りまとめられました内容が、今回の法改正の原案になっています。


医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)について

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000469066.pdf

 

法案自体は、平成31年2月15日に提出されたもので、本則だけで8本に及ぶ法律の改正、施行日は7段階に分かれる非常に複雑な内容となっています。

医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000469066.pdf

 

<改正の概要>
1.オンライン資格確認の導入
・オンライン資格確認の導入に際し、資格確認の方法を法定化するとともに、個人単位化する被保険者番号について、個人情報保護の観点から、健康保険事業の遂行等の目的以外で告知を求めることを禁止(告知要求制限)する。


2.オンライン資格確認や電子カルテ等の普及のための医療情報化支援基金の創設


3.NDB、介護DB等の連結解析等
医療保険レセプト情報等のデータベース(NDB)と介護保険レセプト情報等のデータベース(介護DB)について、各DBの連結解析を可能とするとともに、公益目的での利用促進のため、研究機関等への提供に関する規定の整備(審議会による事前審査、情報管理義務、国による検査等)を行う。(DPCデータベースについても同様の規定を整備。)


4.高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施等
・75歳以上高齢者に対する保健事業を市町村が介護保険の地域支援事業等と一体的に実施することができるよう、国、広域連合、市町村の役割等について定めるとともに、市町村等において、各高齢者の医療・健診・介護情報等を一括して把握できるよう規定の整備等を行う。


5.被扶養者等の要件の見直し、国民健康保険の資格管理の適正化
⑴ 被用者保険の被扶養者等の要件について、一定の例外を設けつつ、原則として、国内に居住していること等を追加する。
⑵ 市町村による関係者への報告徴収権について、新たに被保険者の資格取得に関する事項等を追加する。


6.審査支払機関の機能の強化
社会保険診療報酬支払基金(支払基金)について、本部の調整機能を強化するため、支部長の権限を本部に集約する。
医療保険情報に係るデータ分析等に関する業務を追加する(支払基金国保連共通) 。
⑶ 医療の質の向上に向け公正かつ中立な審査を実施する等、審査支払機関の審査の基本理念を創設する(支払基金国保連共通)。


7.その他
・未適用事業所が遡及して社会保険に加入する等の場合に発生し得る国民健康保険と健康保険の間における保険料の二重払いを解消するため、所要の規定を整備する。

 

施行日は、令和2年4月1日ということになっていますが、実際は7段階にわたって順次施行されていきます。

 1については公布日から2年を超えない範囲内で政令で定める日

 2は令和1年10月1日

 3並びに6⑵及び⑶は令和2年10月1日(一部の規定は令和4年4月1日)

 5⑵及び7は公布日

 6⑴は令和3年4月1日

 

オンライン資格確認については、現在「資格喪失後の無資格受診」が長らく問題となっていることを解決すべく、「保険証を持ってきたその人が、本当にその保険証の資格を有しているのか」を病院の窓口でオンラインにて瞬時に確認できる仕組みです。

とりあえずこれを進めるにあたり、健康保険被保険者証に個人別番号(被扶養者ごとの番号)として、世帯単位番号に2桁の枝番号を追加するという処置がなされます。

オンライン資格確認等システムの検討状況

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000469066.pdf

 

最終的には、マイナンバーカードを健康保険証にしたいようです。(平成31年2月14日付日本経済新聞

www.nikkei.com

 

これから改正法をしっかり読み込んでいこうと思います。

支部でも改正法の研修を企画してもらえるよう、お願いしてみます。