田中労務経営事務所  業務日誌

埼玉で社会保険労務士をやっています。日々の業務にまつわるあれこれを綴っていきます。

海外勤務者の社会保険料

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皆さんの会社、顧問先等に海外子会社、支店を持っているところはありますでしょうか。

その場合、国内からの出向者があると思いますが、社会保険の適用はいかがされているでしょう。

 

まず、社員を出向により海外駐在させる場合、

①出向元企業の従業員としての地位を保持したままで出向先企業の指揮命令に服することとなる「在籍出向」か

②出向元企業との労働契約関係を終了させて、新たに出向先企業との間に労働契約を成立させる「移籍出向(転籍)」か

のいずれかの形式を採ることとなります。

移籍出向ならば、社会保険費保険者資格喪失手続きをして終わりです。

 

問題は、在籍出向の場合

在籍出向の場合は日本国内企業からと海外企業からの両方から給与が支払われるケースが多いですが、海外の出向先企業から支払われる給与等が「標準報酬月額」に含まれるかが問題となります。


 この点については、日本年金機構が「海外勤務者の報酬の取扱い」を公表しており、以下の基準を示しています。 

日本年金機構海外勤務者の報酬の取扱い

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2014.files/0000020022FUlxbluFis.pdf

 


①労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、給与明細等に記載があるものについては、原則、全て「報酬等」となります。


②海外の事業所から支給されている給与等であっても、適用事業所(国内企業)の給与規定や出向規定等により、実質的に適用事業所(国内企業)から支払われていることが確認できる場合は、その給与等「報酬等」に算入することになります。


上記の基準によれば、出向先企業から支払われる給与等が、出向先企業の給与規定に等に基づいて支払われている場合であれば、出向先企業からの給与等は「報酬等」に含まれないこととなります。